実は経営者様が誤解をされているケースが少なくないポイントであると思われます。
「固定残業代」は一定期間(通常は月単位)に残業してもしなくしも一定額を支払う、というものが一般的な運用です。
毎月一定時間の残業(時間外労働)がほぼ発生する職場において、その残業(時間外労働)手当の計算の省力化を図る目的で導入されている事業所が多いように思います。
しかしながらその導入により「労働時間管理が不要になる」という訳では決してありません。
「固定残業代」を超える残業(時間外労働)を行った場合には、当然のことながら法的にはその差額の支給義務が生じます。
したがって「固定残業代」を支払っていない場合と全く同じレベルの労働時間管理が必要となることは言うまでもありません。
そういう意味においては、「固定残業代」は一見経営者にとってメリットがないようにも思います。
一方で、「固定残業代」は、期間(通常は月)毎の残業(時間外労働)の多寡により従業員の収入が乱高下することを和らげる効果もあり、一定度従業員の生活保障や安定に繋がっている面もありますし、長期的には従業員の定着に寄与しているとも言えます。
「固定残業代」は正しい運用を行っていれば、経営者・従業員双方にとって有用な制度の一つとも言えます。