「素朴な疑問」ポイント解説

「いわゆる『130万円の壁』は通勤手当を含めて判断するの?」~社会保険加入シリーズ②~

前回はいわゆる「106万円の壁」について触れましたが、今回は「130万円の壁」について考察いたします。

いわゆる「106万円の壁」の「106万円」到達判断には通勤手当を含めない、ということを前回お伝えしました。一方でいわゆる「130万円の壁」の「130万円」到達判断の場合はどうなのでしょうか?ちなみに「130万円の壁」とは、社会保険の配偶者等の被扶養者から外れるポイントのことを指します。

結論としては、いわゆる「130万円の壁」の「130万円」到達判断には、通勤手当を含めて判断することになります。

実は通勤手当の他、賞与や時間外労働手当なども判断する対象になります。ここでは「最低賃金において算入しない賃金」も含めて判断する必要があり、その点において「106万円の壁」の「106万円」到達判断に用いる「賃金」とは大きく異なります。

このように「106万円の壁」と「130万円の壁」の賃金の取り扱いが異なっている理由は、「自身の社会保険加入要件」と「配偶者等の被扶養者の要件」に対する考え方の違いによるものと考えます。

いわゆる「130万円の壁」の「配偶者等の被扶養者の要件」は、給与所得者だけでなく、個人事業主やフリーランスなどもその対象者として適用を受けることになります。したがって、立場が異なる対象者間の整合性を図る観点からも、「賃金」ではなく「トータル収入」という考え方に基づいて判断する必要があるという訳です。

そこで一つ奇妙な現象が生じる可能性があります。
理論的には「106万円の壁」は超えないが、「130万円の壁」を超えてしまう方が存在するということです。

とりわけ基本賃金以外の「通勤手当」「時間外労働手当」「賞与」などが比較的高額な方がその対象となる可能性があります。

ただ私自身、実際そのような方を個人的には存じ上げません。あくまでも理論的にはあり得るというお話です。

ちなみに、もしそのような方が存在した場合は、原則として本人自身で「国民健康保険」と「国民年金」の保険料を納める、という一択になります。


以上、少しでも参考になりましたら幸いです。

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