厚生労働省は労働保険審査会による令和2年度の事件処理状況をまとめ、労災保険で26件、雇用保険で1件の決定を取り消したと発表した。裁決を実施した592件のうち、取消しの割合は4.6%となっている。
労災保険の裁決件数を事件別にみると、業務上外が最も多く348件に上った。続いて障害が71件、給付基礎が29件、治ゆ認定が26件、再発認定が16件、労働者資格が11件などとなっている。取消しは業務上外が13件、給付基礎が6件、その他が3件、通勤災害が2件、障害と労働者資格がそれぞれ1件だった。雇用保険では、就業促進手当で1件取消しとなっている。
社会保険審査会による処理状況も公表した。容認は89件で、裁決を実施した1244件のうち7.2%となっている。棄却は1040件、却下は115件だった。
実は、この記事にはありませんが、社会保険審査会の審査に当たって保険者が再検討を行った結果、原処分の変更が行われ、(再)審査請求が取り下げられた件数が157件にのぼっていることがわかりました。
これは容認裁決の89件を大きく上回る件数です。
上級審査庁の審査の過程(裁決が出る前)において原処分を変更するケースが意外と多いことに正直戸惑いも感じます。
ただ見方を変えれば、不服審査制度が一定度有効に機能している証拠と言えなくもないのかもしれません。