1月2日に発生した羽田空港での海上保安庁機とJAL機との衝突事故の状況が少しずつ明らかになってきました。しかしながら状況が明らかになるにつれ、私自身あらたな疑問も感じるようにもなってきました。
そこで今回は現段階(1月12日現在)において、私が感じている「3つの疑問」をご紹介していきます。
<疑問点①>
何故JAL機のパイロットはC滑走路上にいる海保機を発見できなかったのか?
JAL機長の証言として「海保機を視認できなかった。」と報道されています。
その「視認できなかった」要因として、
「当該パイロットがヘッドアップディスプレーを通して前方を視認していたことにより、C滑走路上のライトの灯りと海保機が同化してしまい、海保機を発見できなかったから」という説が現段階では有力視されています。
しかしながら「パイロットは通常、管制官から着陸許可を受けても、それを100%信用した行動はとらない」とされています。まさに今回のようなヒューマンエラーが絡んだ他機との衝突の可能性や滑走路上に他機から落下した異物(航空機部品等)との衝突の可能性など、常に最悪のケースを想定しつつ操縦かんを握っています。そのことは常に乗客の生命を預かっているパイロットの強い使命感、そして「職業的な習性」の表れとも言えます。
そのようなパイロットが、日常的に使用している「ヘッドアップディスプレー」が原因で海保機を発見できなかった、とする見解に私はどうしても違和感を覚えてしまいます。
しかも、今回はたまたま機長と副操縦士の2人がともに「海保機を発見できなかった」とうことになり、ますます謎が深まります。
<疑問点②>
何故、海保機は衝突した地点からほとんど移動することなくその場で炎上したのか?
「海保機は衝突した地点から大きく移動することなくその場で炎上した」と報道されています。また、「衝突は海保機のほぼ真うしろで発生した」とされています。一方JAL機は衝突地点から1km以上前方に進んだ草地に停止しました。
物理的に果たしてそのような状況が発生しうるものなのでしょうか?
私は物理学を専門的に学んだ経験がないので、はっきりとした見解は示せませんが、どうしても腑に落ちません。
全くの素人考えですが、通常このような場合は、海保機がJAL機に多少なりとも引きずられたところで停止するか、もしくは衝突した角度によっては、左右どちらかに飛ばされるのではないかと想像します。いずれにしても「海保機が衝突した地点からほとんど移動することなくその場で炎上した」ということに、どうしても私は違和感を覚えてなりません。
<疑問点③>
海保機側の搭乗関係者6名の中で「生死を分けることとなった決定的な要因」とは何だったのか?
海保機の機長は幸いにして一命を取り止めました。しかも負傷の程度が事故直後から会話も可能な程であったとのことでした。一方で不幸にして他の5名の搭乗関係者は事故直後に大きなダメージを負うこととなり、早い段階で死亡が確認されました。ほんとう痛ましい状況でありご冥福をお祈りするばかりです。
一方でご存命の機長も含め、現段階で海保機側の搭乗関係者の救出を巡る一連の状況に関しての報道がJAL機に比べ極端に少ないことに違和感を覚えています。
同じ海保機に搭乗していた関係者6名のうち、幸いにして一命を取り止めた機長と、その他の5名の搭乗関係者、その生死を分けた決定的要因は一体何だったのでしょうか?
決して大きな航空機ではないことから、おそらく事故同時の6名の着座位置もそれほど離れていなかったはずです。少なくとも当該機の機長のすぐ隣には副機長が着座していました。とにかく当日の当該機からの搭乗関係者の救出状況も含め、公式に判明している部分からでも順に明らかにしていただきたい思いです。
以上、私が感じた3つの疑問になります。
運輸安全委員会をはじめとした関係各所には、今後の「更なる空の安全」に繋げていくためにも、客観的で納得感のある今回の事故の全容とそれを踏まえての今後の再発防止策等についてなるべく早く明らかにしていただくことに強く期待します。
※本ブログ記事は2024年1月12日現在の情報により作成しています。