ジェットスタージャパン内組合のJCAのストライキは、連日団体交渉を開催するも現段階で収拾の目途は立っていない。
そもそもジェットスタージャパンに限らず、民間航空会社(エアライン)の乗務員は労基法が求める厳格な労働時間管理には馴染まない面があることは否めない。
航空機の運航は天候や機材状況等さまざまな要因により影響を受けことになる。それにより乗務員の勤務もそもそも不安定にならざるを得ない性質を有しているからである。
もし乗客を目の前に自分たちの勤務時間等の都合で、いきなりフライトキャンセルするような事態が頻発することになれば、世間からかなり厳しい目でみられることは容易に想像される。たとえその理由が「法を厳守する為」であっても、そのような理由で世間が寛容な目で受け止めてくれるとはなかなか考えにくい。
一方、乗務員の方もフライト完遂に向けた使命感は相当に強く、自らのフライトを途中で放棄することを望むような「無責任者」はほぼ皆無である。
そういう意味では、これまで「法的にグレーな部分」は、基本的に会社と労働組合との間で締結する「労働協約」をもってなんとか乗り越えてきた、という経緯がある。
加えて労使双方の合意の証である「労働協約」があることで、労働当局も多少法的にグレーな部分を認識しつつも、それを尊重し強く指摘することはなかった。
そういう意味では、現在の「本邦エアライン乗務員の賃金・勤務体系」は、会社・労働者・当局の微妙なバランスの基で成り立ってきたとも言える。
今回JCA側がここまで頑なになっているのは、ジェットスタージャパン側とJCA側の間においてその微妙なバランスが崩れるような状況になったことが原因ではないかと私は見ている。少なくともJCA側はそのように受け止めている可能性が高い。
今回JCA側のストライキの大義名分は「残業代不払い」と報道されているが、実はもっと深い根のところで、双方に亀裂が生じているような気がしてならない。
これまでの航空業界の常識ではとても考えられない「年末年始ストライキ決行」という「異常事態」を招いてまでもJCA側がこだわっていることとは果たして何か?
私はジェットスタージャパンの内部事情を知り得る立場ではないので、「わからない」というのが正直なところであるが、個人的に「邪推?」はしている。但しあくまでも「邪推」の域に過ぎないので、その内容をここでの言及することは避けることとする。
いずれにしてもジェットスタージャパン側、JCA側そして何よりも利用客の為に一行も早くこの「異常事態」が収拾されることを心から望みたい。