2024年1月1日に発生した能登半島地震により全面解除していたJCAによりストライキが再び実施される可能性が出てきました。
一部新聞報道によれば、会見でJCA側が当該執行委員による上司への暴言など13件のパワーハラスメントが確認されたとして、3月7日に諭旨解雇処分を通知され、退職しない場合は懲戒解雇とする旨通告されたと言う。
一方、JCA側はパワハラとされるのは不当と主張しており、当該労組の執行委員が解雇処分を受けたのは不当労働行為とし、労組は13日、解雇処分の取り消しを求めて、組合員数百人にストを実施するか投票を呼びかけたところ、97%が賛成してスト権が確立したという。最速で「今月26日にもストを実施する構え」とのこと。
もちろん、この記事はJCA側の会見内容をそのまま報道したものであることから、客観的な事実関係の確認には注意を要することは言うまでもない。
もし仮に本件が今後係争となった場合に、個人的には以下の3つの論点に注目していきたい。
①「13件のパワーハラスメントについて」
⇒これまで会社側が当該従業員(JCA執行委員)に対し、都度当該パワーハラスメント行為への注意・指導等を行ってきているのか?
会社側がこれまで当該社員のパワーハラスメント行為を認識しつつ、何ら注意・指導を行った実績がないのであれば、そもそも当該社員の「パワーハラスメント行為」に対する認識がなく、自らの行動を改める機会が与えられなかった、とも言える。
②「諭旨解雇処分について」
⇒当該パワーハラスメント行為の回数、内容、被害の状況等を照らし、社会通念上当該行為を理由に諭旨解雇処分を行うことに妥当性・相当性があるのか?
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」(労働契約法第15条)
③「執行委員への処分について」
⇒JCA側のストライキ実施に対する報復目的など、当該懲戒処分が会社側の不当な目的で行われていないのか?
「使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること」(労働組合法第7条一部抜粋)
折しもこれから人の移動が活発になる年度末になる。今後の推移を見守っていきたい。