報道によると「ジェットスタークルーアソシエーション」(JCA)が3月29日に予定していたストライキはひとまず中止になった、とされている。
会社側から「大規模なストライキを実施する場合は開始48時間前まで、参加人数が14人以下の場合は前日18時までに、参加者のリストとともに会社側に通告するよう求められた」という。 これが守られない場合は「参加者に対する懲戒処分を検討する」と説明。
それに対してJCA側は「会社による労働組合への介入などを禁じた労働組合法7条3項に違反する」と反発。しかしながら「組合員を守るために予定していた今回のストライキはひとまず中止の判断を行った」とのこと。
本件について、私が軽々しく論評することは避けたい。だがストライキ通告を理由に懲戒処分に言及することは極めて異例と言える。
ちなみに過去航空のストライキを理由に懲戒解雇を行った裁判例として「組合の本件争議行為が違法不当であるとする被申請人の主張はその根拠がなく、従つて右争議行為を企画・実施したことを理由とし就業規則の懲戒条項を適用してした本件申請人らに対する解雇は、正当な争議行為を理由とするものであるから労組法七条一号、民法九〇条により無効である。」(東京地決昭和41年2月26日)とされた事案が存在する。
そもそも、公益事業(運輸事業、郵便、信書便又は電気通信の事業、水道、電気又はガスの供給の事業、医療又は公衆衛生の事業)において、労働組合・企業が複数の都道府県にまたがるストライキや事業所閉鎖などの争議行為を行う場合は、労働関係調整法第37条に基づき、争議行為予告を中央労働委員会と厚生労働大臣に、少なくとも10日前までに通知しなければならない。
労働関係調整法第37条に基づき、争議行為予告の通知を受けた場合は、厚労省から公表される。ちなみに最近実際になされた争議予告通知は以下に公開されている。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/sougikoui/index.html
これを見ると、ジェットスタージャパンのみならず、他の航空会社も争議行為予告通知を受けていることが確認できる。
ただ実際ストライキに入っても対象となる組合員の規模が小さく、ストライキに参加しない他の組合員や管理職等により実質的に運航便がカバーできることが多く、その場合世間的に話題になることはほとんどない。
またそもそも争議行為予告がなされた場合であっても、必ずしも戦術としてストライキの実施を前提としている組合ばかりではない。ストライキ以外にもさまざまな争議形態があるからである。例えば「残業拒否」「勤務変更拒否」等がそれにあたる。
ただ今回JCA側がストライキに突入した場合、実際にジェットスタージャパン便が欠航になる可能性が高いことから、世間の注目が集まっているのである。
引き続き、この件の今後の推移について注目していくことといたしたい。